最近読んだ本
1月末にKindleとkoboで角川書店の電子書籍70%OFFセールなんてのをやってたもんで、ここぞとばかりに買いまくってしまいました。
角川の本ばかり、40冊位??
横溝正史とかあれもこれもと買ったせいで、購入本の一覧画面がオドロオドロしいことに…w
そんでもって、最近読書家の同僚が本を貸してくれるのですが、読み終ったら「はい、次」とコース料理のように新たな本がやってくるので、自分的に殆どあり得ないペースで読みまくってます。
しかし、自分の本は積まれてゆく一方なのはどうしたものか…うーむ。
そんなわけで、最近読んだ本です。
『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
『日の名残り』 カズオ・イシグロ
いずれも上述の同僚が貸してくれたもので――そもそも何がきっかけだったのかは忘れてしまったのですが――後述の本と同様、こんな機会がなければ自分から手に取ることはなかったろうという本です。
いや、どちらの作品もよかったんですけどね。
どちらも、光ではなく影であることを選んだ(選ばされた)人たちの話だなあと思いました。
『日の名残り』では、その人生への誇りと葛藤が、『わたしを離さないで』では、運命に抗いながらも結局は従容として受け入れてゆく様が、それぞれに淡々と描き出され、静かに幕を閉じる――。
激しく心を揺さぶられたというのではないけれど、心の奥に残った余韻がいつまでも消えないような、そんな読後感でした。
『獄門島』 横溝正史
『悪魔が来りて笛を吹く』 横溝正史
次はガラリと雰囲気変って、横溝正史ですw
横溝正史は映像作品は結構観てるんだけど、本家本元の小説の方はというと、『悪魔の手毬唄』と『八つ墓村』しか読んでないんですよね。
この2作品については、映画やドラマでのオドロオドロしい雰囲気がそれほどでもなく、意外にユーモラスで爽やかな読後感だったのを憶えています。
さて、まず『獄門島』ですが、これはかなりよかった! 完成度の高い作品だと思います。
推理小説としても面白いんだけど(犯人の動機については、賛否両論あると思いますが)、それ以上に因習にとらわれた島の空気とその中で生きざるを得ない人々の描写が秀逸。
最後、島を去る金田一耕助に向けて千光寺の了沢が鐘をつくシーンには、なんとも云えない切なさがあったな。
(映画では早苗が鐘をついてるんだけど、ここはやはり了沢の方が胸に迫るものがあると思う)
次いで『悪魔が来りて笛を吹く』――うーん、これは推理小説としては凡庸というか、あまり見るべきものはない感じ、なんですが、旧華族のインモラル上等な愛憎ドロドロ劇がすごかったです。
あ、でも、最後の最後に明かされるフルートのトリックは面白かったし、物語の締めとして効果的でした。
それにしても金田一さん、今回(も?)殆どまったく役に立ってないじゃないですか…w
『天使と悪魔』 ダン・ブラウン
折角の7割引きセールなので、ちょっと読んでみるか〜と勢いで買っちゃいました。が! うーん、薄味だったなあ…。
Amazonのレビューに「シドニー・シェルダン風味」とかあった気がするんだけど、まさにそんな感じ。
ジェットコースター展開でするする読める。でも、後には何も残らない。
もしかして故意にそういう作風にしてる?って疑いを抱いてしまうくらい、見事に何にも残らないんですよねー。
もう読まねー!と思うも、ついでに『ダ・ヴィンチ・コード』まで買ってしまっていたのだった…とほほ。
『海賊とよばれた男』 百田尚樹
出光興産の創業者、出光佐三氏をモデルにした小説です。
あくまで小説なので史実と異なる部分もあるのでしょうが、しかし、こんな日本人がいたということに、ただただ感動。
当たり前のように享受している豊かさは、当たり前のように手に入ったものじゃないということを改めて感じました…。
そして、ガソリンは出光で入れようと思いましたw
作者の百田氏は長年「探偵ナイトスクープ」の構成を担当しているだけあって、掴みが巧いです。
ただ、人物描写がやや類型的に陥る嫌いがあって、そこが惜しい。
『舟を編む』 三浦しをん
同僚が貸してくれた本・その2。
辞書編纂にまつわるエピソードは面白く読めました、が、なんだろうな、それ以外の物語の部分がイマイチだったなあ。
この物語の中では時間の流れが大きな比重を占めていて、そこをうまく描き出せるかがカギなんじゃないかと思うんだけど、どうも今ひとつに感じたんですよね。
うーん、そんなところかなあ……。
(余談ですが、個人的に“時間”を描いた作品の最高峰は『魔の山』と『ポーの一族』です。後者は逆説的な意味で)
『マディソン郡の橋』 ロバート・ジェームズ・ウォラー
同僚が貸してくれた本・その3。
ずいぶん前のベストセラーですね、懐かしい。
それにしても――大昔、やはり当時の同僚が『ノルウェイの森』を貸してくれた時も思ったんだけど――、何故これがベストセラーなのか、理解できない!
自分が天邪鬼なのか、世間の感性とずれているのか、はたまた両方なのか……(…)。
いつの時代も美しい恋愛ものは売れるってことなんですよね、たぶん。
ところで、この作品、初書きっぽいなあ…と思ったら、やっぱり処女作だった!
なんか処女作特有の、自分の感受性のありったけで書いたって感じの瑞々しさがあるなあと。
『逆説の日本史1 古代黎明編/封印された「倭」の謎』 井沢元彦
歴史学者じゃない人の書く歴史の本って、視点が斬新且つ大胆で面白い。
本書の中でも言及されている『隠された十字架』にしても、そう。
その『隠された十字架』を読んだ時も思ったけど、日本の歴史の根幹に「怨霊信仰」があるってすごく腑に落ちる説じゃないかと。
出雲大社の注連縄が左右逆に縒られている話なんて、ちょっと肝が冷えたわ。
ところどころ強引かなと思う部分もあるけど面白いので、他の巻も読んでみようっと。
角川の本ばかり、40冊位??
横溝正史とかあれもこれもと買ったせいで、購入本の一覧画面がオドロオドロしいことに…w
そんでもって、最近読書家の同僚が本を貸してくれるのですが、読み終ったら「はい、次」とコース料理のように新たな本がやってくるので、自分的に殆どあり得ないペースで読みまくってます。
しかし、自分の本は積まれてゆく一方なのはどうしたものか…うーむ。
そんなわけで、最近読んだ本です。
『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
『日の名残り』 カズオ・イシグロ
いずれも上述の同僚が貸してくれたもので――そもそも何がきっかけだったのかは忘れてしまったのですが――後述の本と同様、こんな機会がなければ自分から手に取ることはなかったろうという本です。
いや、どちらの作品もよかったんですけどね。
どちらも、光ではなく影であることを選んだ(選ばされた)人たちの話だなあと思いました。
『日の名残り』では、その人生への誇りと葛藤が、『わたしを離さないで』では、運命に抗いながらも結局は従容として受け入れてゆく様が、それぞれに淡々と描き出され、静かに幕を閉じる――。
激しく心を揺さぶられたというのではないけれど、心の奥に残った余韻がいつまでも消えないような、そんな読後感でした。
『獄門島』 横溝正史
『悪魔が来りて笛を吹く』 横溝正史
次はガラリと雰囲気変って、横溝正史ですw
横溝正史は映像作品は結構観てるんだけど、本家本元の小説の方はというと、『悪魔の手毬唄』と『八つ墓村』しか読んでないんですよね。
この2作品については、映画やドラマでのオドロオドロしい雰囲気がそれほどでもなく、意外にユーモラスで爽やかな読後感だったのを憶えています。
さて、まず『獄門島』ですが、これはかなりよかった! 完成度の高い作品だと思います。
推理小説としても面白いんだけど(犯人の動機については、賛否両論あると思いますが)、それ以上に因習にとらわれた島の空気とその中で生きざるを得ない人々の描写が秀逸。
最後、島を去る金田一耕助に向けて千光寺の了沢が鐘をつくシーンには、なんとも云えない切なさがあったな。
(映画では早苗が鐘をついてるんだけど、ここはやはり了沢の方が胸に迫るものがあると思う)
次いで『悪魔が来りて笛を吹く』――うーん、これは推理小説としては凡庸というか、あまり見るべきものはない感じ、なんですが、旧華族のインモラル上等な愛憎ドロドロ劇がすごかったです。
あ、でも、最後の最後に明かされるフルートのトリックは面白かったし、物語の締めとして効果的でした。
それにしても金田一さん、今回(も?)殆どまったく役に立ってないじゃないですか…w
『天使と悪魔』 ダン・ブラウン
折角の7割引きセールなので、ちょっと読んでみるか〜と勢いで買っちゃいました。が! うーん、薄味だったなあ…。
Amazonのレビューに「シドニー・シェルダン風味」とかあった気がするんだけど、まさにそんな感じ。
ジェットコースター展開でするする読める。でも、後には何も残らない。
もしかして故意にそういう作風にしてる?って疑いを抱いてしまうくらい、見事に何にも残らないんですよねー。
もう読まねー!と思うも、ついでに『ダ・ヴィンチ・コード』まで買ってしまっていたのだった…とほほ。
『海賊とよばれた男』 百田尚樹
出光興産の創業者、出光佐三氏をモデルにした小説です。
あくまで小説なので史実と異なる部分もあるのでしょうが、しかし、こんな日本人がいたということに、ただただ感動。
当たり前のように享受している豊かさは、当たり前のように手に入ったものじゃないということを改めて感じました…。
そして、ガソリンは出光で入れようと思いましたw
作者の百田氏は長年「探偵ナイトスクープ」の構成を担当しているだけあって、掴みが巧いです。
ただ、人物描写がやや類型的に陥る嫌いがあって、そこが惜しい。
『舟を編む』 三浦しをん
同僚が貸してくれた本・その2。
辞書編纂にまつわるエピソードは面白く読めました、が、なんだろうな、それ以外の物語の部分がイマイチだったなあ。
この物語の中では時間の流れが大きな比重を占めていて、そこをうまく描き出せるかがカギなんじゃないかと思うんだけど、どうも今ひとつに感じたんですよね。
うーん、そんなところかなあ……。
(余談ですが、個人的に“時間”を描いた作品の最高峰は『魔の山』と『ポーの一族』です。後者は逆説的な意味で)
『マディソン郡の橋』 ロバート・ジェームズ・ウォラー
同僚が貸してくれた本・その3。
ずいぶん前のベストセラーですね、懐かしい。
それにしても――大昔、やはり当時の同僚が『ノルウェイの森』を貸してくれた時も思ったんだけど――、何故これがベストセラーなのか、理解できない!
自分が天邪鬼なのか、世間の感性とずれているのか、はたまた両方なのか……(…)。
いつの時代も美しい恋愛ものは売れるってことなんですよね、たぶん。
ところで、この作品、初書きっぽいなあ…と思ったら、やっぱり処女作だった!
なんか処女作特有の、自分の感受性のありったけで書いたって感じの瑞々しさがあるなあと。
『逆説の日本史1 古代黎明編/封印された「倭」の謎』 井沢元彦
歴史学者じゃない人の書く歴史の本って、視点が斬新且つ大胆で面白い。
本書の中でも言及されている『隠された十字架』にしても、そう。
その『隠された十字架』を読んだ時も思ったけど、日本の歴史の根幹に「怨霊信仰」があるってすごく腑に落ちる説じゃないかと。
出雲大社の注連縄が左右逆に縒られている話なんて、ちょっと肝が冷えたわ。
ところどころ強引かなと思う部分もあるけど面白いので、他の巻も読んでみようっと。
Comments