ドラゴン・タトゥーの女
なんか映画観に行きたいな〜と思ってたところ、これが評判良さげだったので行って来ました。
しかし、一人でレイトで観たのは失敗だったかもしれない……帰り道怖かったよーん。
ていうか監督のデイヴィッド・フィンチャーって『セブン』の人だったんですね!
うわあああああ、それ知ってたら観に行かなかったのにぃぃぃ。
作品自体はすごく面白かったんですよ、面白かったんだけど、しかし、『セブン』同様に猟奇趣味が勝ち過ぎてるんだよなあ…。
ストーリーは、ものすごくざっくり云うと、スウェーデンを舞台にした「犬神家の一族」+切り裂きジャック÷2に現代的なサイバー要素をまぶし、オマケに財界汚職とかマネロンとかの話もついてくる――というものです。
いろいろテンコ盛りというかぎゅうぎゅう詰め込んであります。
かといって散漫に陥ることなく、ギュギュッと濃縮された物語がテンポよく進んでいきます。
さすがフィンチャー。
主役は雑誌「ミレニアム」編集者・ミカエル(ダニエル・クレイグ)と、その助手・リスベット(ルーニー・マーラ)なんですが、このリスベットがすごーく魅力的!
(しかし、そのぶんダニエル・クレイグが空気になってる件)
少年みたいな華奢な体型で、顔立ちもアメリカ人らしからぬ(失礼)繊細さで、ちょっと翳があるんです。
もろ日本人好みだと思う。
あ、アメリカ人というか作品上はスウェーデン人ですが。
そういえば、スウェーデン舞台の話で登場人物もみんなスウェーデン人なのに会話は全部英語って…!と結構違和感あったんだけど、アメリカはジャイアンだからね、仕方ないよね。
と話が逸れましたが、個人的にこの映画の半分いや8割はリスベットで出来ていますと云ってもいいくらいよかったです、ルーニー・マーラ。
あとの2割は冒頭のタイトルバックかな。
なんというか、Coooooooool!!!って感じで超カッコよかったです(ちょっとグロいけど)。
予告篇にもタイトルバックと同じ曲が使われてるんだけど、これもすごくクールなイメージ。
http://www.youtube.com/watch?v=WVLvMg62RPA
ツェッペリンの「移民の歌」という曲のカバーだそうで……こういう昔の名曲をブラッシュアップして使うのってセンス試されそうだわ。
あああ、予告篇観たらまたドキドキしてきた…。
この、雪に閉ざされた田舎町の閉塞感が半端ないんですよ。
そういえば晴天の日がなかったような……北欧の冬ってこんななのかしらんと思ってしまった。
(以下ネタバレ含むので隠します)
さて、いきなりネタバラシなんですが、犯人のマルティンについて。
このおっさんの初登場シーンでアップになる顔がね、見た瞬間に脳内で警報鳴り響きそうなくらい変質者っぽいんです。
「こいつが犯人に違いない!」とわかっちゃうくらい。
一見いかにも裕福な紳士って感じなんだけど、なんか残忍さが滲みでているんですよね…。
ここの演出、監督・役者ともにすごい!と後で思いました。
変質者といえば、リスベットの2代目後見人も反吐が出そうな変質者だったんですよね。
リスベットに完膚なきまでにボコられて爽快ではあったけど、こんなヘヴィな変質者何人も出さないでほしいとは思った、正直。
もう一人の変質者(まだいるんかい)、マルティンの父親ゴットフリート(故人)ですが、この「ゴットなんとか」という名前、「神のなんとか」って意味じゃなかったっけ?と検索してみたら、「神の平和」って意味なんですね。
で、そのゴットフリートが聖書の内容に見立てて女を殺してゆくと……うーん、ベタだな。
マルティンといい、なんかもろにゲルマン系って感じだけど(容姿も)、親ナチだった為に一族からハブられてるハラルドよりも人畜無害に見えたふたりの方が残忍なレイシストだった、ってのは皮肉ですねえ…。
あ、でも、ゴットフリートの父親リカルドはハラルド以上の親ナチだったんだっけ。
やっぱ“血”なんですかね…怖いなあ。
それにしても、同じ“一族の血”による犯罪をテーマにしながら、『犬神家の一族』なんかとは全然空気が違うな。
日本のこの手のサスペンスは情念が絡むことが多いのに較べて、真性の猟奇趣味というか快楽殺人なんだよね。
そこが恐ろしいし、厭な感じで後を引く。
安直だけど、農耕民族と狩猟民族の違いを感じるわ。あー日本人でよかった。
なんかスラスラと名前が出てきてますが、当然ながらWiki見て書いてます。
鑑賞中は誰が誰やら混乱すること甚だしく……テンポ速い上に、一族の関係が一度しか説明されないんだもんなー。
今後観る予定の方は、観賞前に相関図を頭に入れとくことをおすすめします!
最後にもひとつラストシーンについて……あれはあんまりだと思いますー(涙)。
聞けば原作とは違うらしいじゃあないですか。
続篇作るなら、本当に本当にリスベットを幸せにしてあげてほしいところです……。
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