キサラギ
昨日(14日)テレビでやってましたね。
これ、好きなんですよ。あまり期待せずに観に行ったらすごく面白くて、上物拾った気分になった、去年の今頃。
登場人物は、五人の癖のある男たち、というかオタクたち。
アイドル「如月ミキ」のファンサイトで知り合った彼ら五人が、ミキの一周忌に彼女の思い出を語り合うべく、ファンサイト管理人「家元」(小栗旬)の部屋に集まってくるところから物語は始まります。
ネットで知り合ったわけだから、彼らは互いの素性を何も知らない。知っているのは、皆そろってミキのディープなファンであるということだけ。
やがて、ミキの死の真相を突き止めようと男たちは熱い闘い(?)を繰り広げ始め、その過程で彼らの正体が明かされてゆく。
そして物語も二転三転、意外な真相が待つラストへ――という感じのあらすじです。
一室に集まった登場人物たちが事件の謎を解いていく、いわゆる密室劇のミステリーといった体裁なんですが、基本的にはコメディなんですよね。3分に1回は笑えます。
それも結構今風の笑いというか、テンポよく且つオタクチック。オタクの生態を知っている人間なら大受けしそうな小ネタに溢れていたり。
密室劇ということで、役者ひとりひとりのセリフ量も半端でなく、またセリフのみで物語を展開させねばならない難しさもあると思うんですが、それゆえの重苦しさはまったくなく、むしろ軽快そのもの、最後までほんっとーに目が離せない面白さでした。
随所にちりばめられた小ネタやテンポのよい掛け合い&ツッコミは軽快なんですが、物語の構成そのものは実に緻密に練り上げられているんですよね。
堅牢な土台の上に笑いのデコレーションを施してるような印象でしょうか。
でもって、最後の最後のどんでん返しでほろりとさせるところが、ちょっと憎らしいくらいに巧いんですよ。
笑わせるだけじゃないという、メリハリのつけ方がいい。脚本、素晴らしかったです。
小栗旬を取り巻く脇役に香川照之やユースケ・サンタマリアなどの個性的な面々を配したのもよかった。いずれもハマリ役といった感じでした。
『キサラギ』、これで2回目の観賞だったわけですが、今回は細かな伏線を確かめながらニヤニヤしつつ観るという、初回とは違う愉しみ方が出来ました。また何年後かに観たいな。
Comments
キサラギ、私も観てましたよー♪
いやはや、見えない力に引き寄せられてよくぞ集まりしこの5人!
>随所にちりばめられた小ネタやテンポのよい掛け合い&ツッコミは軽快なんですが、
>物語の構成そのものは実に緻密に練り上げられているんですよね。
伏線の張り方が実に巧みでしたよね。つぎつぎと仮説が覆されていくとことかは特に。
舞台劇風(?)にしたことでセリフの面白さがより引き立っていたし、キャスティングが絶妙でしたネ。
>最後の最後のどんでん返しでほろりとさせるところが、ちょっと憎らしいくらいに巧いんですよ。
そうでした。ミキが絵に描いたようなアイドルではなくて、ショコ○ンを思いきりダサくしたような娘だったのもナイスでした。
純粋なファンとしての家元の愛がこの5人を呼び寄せたんだな〜と、ほろりときましたよ!
で、最後の最後の最後に「なにィ〜〜!!」なとこも憎い!結局真実は藪の中…ってことですか。
ところで↓の記事のコメントなのですが、ついでなのでこちらに書かせていただきますね。
あれから寺山修司について調べたのですが、たしかに『歓酒』の井伏鱒二訳に対してこの詩(『幸福が遠すぎたら』)を書かれたようです。
全文を読んでみたんですが、ザ・寺山修司というしかない鋭い感性と借り物ではない自分だけの言葉で語ってるのがね、すごい!
いや〜、ももさんのブログ、勉強になるなあ。
ラッカムも画像検索してみたんですが『不思議の国のアリス』の挿画、見たことありますよ〜。
>といっても、この詩をはじめてちゃんと知ったのも、BL小説という...(恥
私なんかそんなんばっかですよ〜。
私の知識の9割はマンガや小説で興味を持ったもので出来てます。
じつは『マザーグース』を読むきっかけになったのも『ポーの一族』と『パタリロ』だったり…(大恥
今頃は休暇満喫中でしょうか? たくさん読みまくってくださいね〜♪
『キサラギ』、レイラさんもご覧になってましたか!
いかにも単館系のマイナー映画って雰囲気がまたいいですよね〜。
>ミキが絵に描いたようなアイドルではなくて、
>ショコ○ンを思いきりダサくしたような娘だったのもナイスでした。
そうそう、“D級アイドル”設定、よかったですよね。
出来の悪い子ほど可愛いように、無名の売れないアイドルだからこそ愛着も深くなるんだろうなあと、そういうファン心理(オタク心理?)がいじらしかったな。
最後の宍戸錠はちょっと余計だった気もしますが、まあご愛嬌ってとこなんでしょうか(笑)
寺山修司の詩、私も検索して読んでみました〜!
ちょっと口ずさんでみたくなる感じですね。この物悲しいような抒情性は、昭和という時代に確かに存在したものなんですよねえ…。
そして、最後の「人生なんかいりません」の、なんと力強いこと。
この一文ですべてが引き締まる、さすがです!
私もマンガにはいろいろお世話になりました〜、特にいわゆる24年組のみなさんの作品にはホントに。
今思えば、人生の転機にも少なからず関わって来てたような…。
私は大学の専攻が仏文だったんですが、仏文選んだのも、「おにいさまへ…」でヴェルレーヌに興味を持ち、芋づる式にランボーにハマったからなんですよね、ははは。
で、ランボーにハマったのも、詩も好きだったんだけど同時にヴェルレーヌとの関係にも興味津々だったからという…この頃から筋金入りの腐女子だったんですね、自分。
おお、恐るべし24年組!
確かに感受性豊かな10代の頃に読んだ世代(リアルでも単行本でも)なら影響を受けますよね。
思えば、自分の趣味嗜好の分かれ道だったんじゃないかなと思います。
このあたりの作品群が腐女子への道しるべだったなあと…。
>私は大学の専攻が仏文だったんですが、仏文選んだのも、「おにいさまへ...」でヴェルレーヌに
>興味を持ち、芋づる式にランボーにハマったからなんですよね、ははは。
そうだったんですか?ええ、覚えてますとも!奈々子が泣きながら思い浮かべていたヴェルレーヌ!
”巷に雨の降るごとく我が心にも雨が降る……”でしたっけ?
私もあとで知ったんですが、ヴェルレーヌとランボー(少年詩人ですよね?)ってそういう関係だったんですねー。
この作品は『ベルばら』と双璧で私の大好きな作品なんですよ。
ドSの一の宮蕗子様とドMのサン・ジュスト様の印象は強烈でした。
雨の中の待ちぼうけとか剣山を手の甲にグサっとか!
マリ子と奈々子の関係性も良かったですよね。マリ子の孤独が身に沁みました。
で、やっぱり薫の君が好きだな〜。また読み返そうっと!
ラストがちと悲しいけれど、昔のマンガって普通にこんなのが多かったですよね。
>奈々子が泣きながら思い浮かべていたヴェルレーヌ!
そうそう、時計塔の踊り場か何かに書かれてたんですよね〜(笑)
ヴェルレーヌの詩を泣きながら書き綴る女子高生って! 今じゃあありえませんよね(笑)
ランボーとヴェルレーヌの話は、ディカプリオ主演で映画化されてましたね。
ワクテカして観にいったら、かなり微妙な出来栄えだったという残念な思い出が(そもそも英語を喋るランボーなんて)。
でもディカプリオは初々しくてなかなかよかったです。
>ドSの一の宮蕗子様とドMのサン・ジュスト様の印象は強烈でした。
あはは、確かにドSとドMですよね、あのふたり!(笑)
私も『おにいさまへ…』は大好きです〜。
でもって、私も薫の君が一番好きでしたねえ…ただ、最後はホント救いがなさすぎで泣きましたが。
その点アニメのラストには救われたなあ。原作読むときは、そこだけアニメバージョンに脳内補正かけてます(笑)