やまとしうるはし
小学生の時に「さらば宇宙戦艦ヤマト」を観に行ったんですよねえ…大好きだったなあ、ヤマト。
あの夏の熱気は今も忘れがたく、子供時代の記憶とともにあります。
去年、“ヤマト実写化! キムタク主演!”と聞いたときは、え、何その誰得企画、ていうかどうせいつもの見苦しいグダグダの末の企画だろう、ていうかT●S経営苦しすぎて藁にもすがりたくなったのかね……と、大人になるっていやねーみたいな醒めた心境だったんですが。
ネットでトレイラーとか観てるうち、なんかキムタクは全然古代に見えないけどネタとして観る分には面白いかも…とじわじわ好奇心を掻き立てられたのでした。
まあ実際のところ、ヤマトファンの端くれとしてCGで動くヤマトを観てみたかったのかもしれません(笑)。
というわけで行ってきました、「SBヤマト」。
平日のレイトだったので20人ほどしか客が入っていなかった。
時間的にサラリーマンは厳しかったのか、学生風の若者の姿が目立ってました。
今の若者にはヤマトってどんな位置づけなんだろなあ。もはや歴史の彼方の昭和アニメってところ…?
感想はというと、意外にも、思ってたよりは面白かった、ってところでしょうか。
とはいえ、脚本は本当に酷かったんだけどね……ところどころ、アニメのパートIと「さらば」のつぎはぎだし。
でもその、まさにそのつぎはぎされた原作部分に泣かされてしまった。
真田さんと斉藤が死ぬシーンなんて本当にまんまでさ、柳葉敏郎がまた、アニメの真田さんが憑依したような演技なもんだからもう…観てるこっちは「さらば」を思い出さずにはいられないわけですよ。
最後、古代ひとりになった第一艦橋に沖田艦長や真田さんたちの幻が現れるシーンとかも……まんまやんけ!
なんか観てるうちにアニメの画がダブって見えてきて、「さらば」を観てるような錯覚を起こしてしまった。
そうそう、今市子の『萌えの死角2』に舞台版『トーマの心臓』を観たエピソードがあったけど、ちょうどあんな感じかも。
心頭滅却すれば火もまた涼し、じゃないですが、最後にはキムタクさえ古代に見えてしまったというファン心です。
しかし、キムタクは見事なまでにキムタクだった。あそこまで徹底していると清々しくさえあります。
森雪のメイサは、まああんなもんでいいんじゃないでしょうか(なげやり)。
個人的に(あくまで個人的に)よかったのは、渾身の真田さん演技の柳葉さんと、斉藤役の池内博之でしょうか。
あとミーくん役の猫が超可愛かった。これだけは原作を超えてると云えるかもしれない。
今回しみじみ思ったのは、「宇宙戦艦ヤマト」という作品の主人公は古代でも沖田艦長でもなく、ヤマトという艦なんだということです。
はからずも、ヤマトの見せ場が殆どなかったこの実写版に教えてもらった気がする。
あと音楽について。
実写版の音楽担当は佐藤直紀氏でした。
佐藤氏といえば『ハゲタカ』等々の実績もあり、それはそれで期待の持てるところなのですが、なまじ宮川氏のテーマ曲を使ってしまったものだから、完全にそちらに食われてしまった印象を受けました。
まあヤマトにあのテーマ曲は外せないというのは確かなんだけど、なんか佐藤氏的には複雑なものがあったんじゃないかなあ…。
とまあ、いろんな意味で中途半端な印象の映画でした(なかなか面白くはあったけど)。
それはそうと、映画のおかげで久々にヤマトが観たくなり、今ネットでパートI全26話を鑑賞中――この昭和臭がたまらん。
これが終ったら「さらば」に行こう…辛いけど。
ちなみに私にとってのヤマトは「さらば」で完結してます。作品的にも「さらば」が最高傑作だと思う。
音楽は、でも、「永遠に」もすごくいいんですよねえ…まさに愛とロマン。
最後に、パートIから特に好きな曲をひとつ貼っておきます。
「宇宙戦艦ヤマト」より“出発(たびだち)”
http://www.youtube.com/watch?v=h7mFp2H_PfY