MILK

書きかけのまま放置してました…。以下、先週末のお話。

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予想はしてたけど、お客さん少なかった…週末のレイトショーだったのに!
“同性愛”、“政治”、“伝記モノ”と敬遠されそうな要素揃い踏みだもんなあ。
ガス・ヴァン・サント作品じゃなかったら、私も観に行かなかったかもしれない、が、こういう映画が当たる国が羨ましい気もするんだなあ。

ハーヴィー・ミルク役にショーン・ペンって、わたし的にすごく意外な人選でした。
マドンナの元旦那というイメージが強烈だったもんで……(いつのことやねん!って話ですが)。
古き良き時代のカウボーイ役とか似合いそうな、なんか個人的にサント監督の世界観とは真逆の印象があったんですよ。
しかし、ショーン・ペン、すごかったです。見事にハーヴィー・ミルクになりきって、どこにもショーン・ペンの匂いを感じさせなかった。
ちょっとした仕種とか若者を見る目つきとか、もう自然にゲイなんですよね。
結構な頻度でキスシーンがあったんだけど全然違和感なかったし。
役者ってすごいなあって、なんかもうシンプルに感動してしまった。

ハーヴィーという人は別に清廉潔白ってわけじゃないんですよね。
物語の始まりがナンパシーンってことからも充分汲み取れるわけですが、監督は等身大の男としてのハーヴィーの半生を描きたかったんだと思う。
等身大の、ただし、とても魅力的な40代の男性ですね。
いわゆる“人たらし”の魅力っていうのかなあ……一見平凡な中年男なのに、気がついたら惹きつけられてしまっている不思議。
映画観ている人たちも同じだったんじゃないかなあ…てか私はそうでした。
まあ、だからこそ伝説の(?)政治家になったわけで、その、人間的魅力が政治家的資質に結びつくという事実が、すごく自然に描かれてて説得力ありました。

時間にして2時間ちょっとだったのに、まるで長いと感じなかった。とにかくテンポがよくて、メリハリ効いてて面白かったです。
いや本当に、いい映画だったなあ……。
あと余談ながら、ハーヴィーが途中で別れてしまう彼氏がイイ男でした。
なんで別れちゃうんだろう、もったいない。お互い未練タラタラなのに…ってそこが恋愛の難しいところだよね…。
結局ヨリは戻らないんだけど、二人の間には最後まで温かなものが流れ合っていて、そういう関係もいいなと思った。
物語の最後で、実在のモデルたちのその後が写真とともに紹介されるんだけど、写真の姿にまるで違和感感じない! よく特徴を捉えてるなー。
そんなところにも、監督と俳優たちの作品に対する熱意を感じました。

ちなみに女性客9割

ネットでも現実世界でもウィルスが猛威をふるってますね。
巡回サイトのひとつがウィルス感染の為に一時閉鎖されてしまい、意気消沈してますよ…無事復活してくださいね…。
そして現実ウィルスのために、部屋のどっかにあるはずのマスクを捜すこと2日間、やっと発掘しましたー。あってよかったー!

それはさておき、先日、映画『ハゲタカ』の試写会に行ってきました。
大森南朋と訓覇Pの舞台挨拶付き。噂どおり、南朋さんはテレビで見るより細かったです。
脚とかめっちゃ細く見えたなあ。あと、思ったほど猪首でもなかった。普通にスタイルよかったです。
すごく飄々とした雰囲気の方だったんですが、黒い帽子にヒゲってのがその印象に拍車かけてたかも。俳優というよりミュージシャンっぽい感じ? 
でもって、やっぱりお父さんによく似てるなあと思った。

お話の中で印象に残ったのは、
訓覇P「とにかく男の映画です。スーツです」
南朋さん「自分にとってすごく思い入れのある作品(←2回云ってた)」
そして、お二人とも、この映画が上質のエンタメ作品だということを強調してらっしゃいました。
実際、ドラマ以上にジェットコースター展開のエンタメ作品でしたね。濃かった!

でまあとにかく、男、男、男と、訓覇Pのお言葉通り、潔いくらい男だらけの映画だったです。
公開されたらまた行きます〜。
以下、ネタバレってほどじゃないけど念の為に隠します。

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愛ってなあに

俎上の鯉は二度跳ねる


コッテコテの中華料理でした。美味しかったけど、胃もたれもすごい。
ふたりの会話だけで進むページの多いこと、多いこと。セリフもこれまた多いこと、多いこと。
それも緊張の糸がぴーんと張り詰めてて、一瞬たりとも弛まないもんだから読んでる方も疲れるんだよね(笑)。
なんか心理小説っぽいなあと思いました。エゴとエゴのぶつかり合いのハンパなさといったら…お、思い出しただけで疲れる…。
とりあえず感想は吐き出したいけど文章組み立てる気力がないので、箇条書きで。
(めちゃくちゃ長いので折り畳んどきます。興味のある方のみどうぞ)

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You Complete Me

ジョーカーって、見れば見るほど知れば知るほど囚われてゆくような、すごい訴求力の持主だなあ…と最近暇があればジョーカーのことを考えてます。
絶対悪的キャラなのに、セリフがいちいち真理をついてたりするんだよな。だから心動かされる。
ジョーカーのセリフを読み解くこと、それすなわち『ダークナイト』を理解することじゃないかと思えるくらい。
もちろんバットマンあってのジョーカーなんですけどね。

『ダークナイト』、都合2回観たんだけどまだ足りない気分…もうDVD買っちゃおうかな。
なんか中毒性があるんですよね、この映画。
とりあえず、どうしても正確なセリフが知りたかったので脚本を捜してみました。
すると! 驚いたことにワーナーのサイトで脚本公開してるじゃないっすかー!!(しかもPDF形式!)
すげー! ワーナー太っ腹!
速攻DL&印刷させていただきましたよ。全141ページ。
今度観るまでに頭に入れとこうっと。

それにしてもだるいなー。連休明けは疲労感が倍増しで襲ってきますね。
あー夏の連休まで長い道のりだなあ…。
下は、夕暮れ時に撮った躑躅の写真。
薄闇の中の白い躑躅って、なんか不思議な妖しさがありました。清楚さと背中合せの官能みたいな。

つつじ

木枯し紋次郎

金曜日の話ですが。
ぐーぐるの急上昇ワードに入ってて「なんで!?」と思ったら、リメイクドラマやってたんですねー。
十数年前にBSでやってたの観て以来、超の付く大ファンなんです、木枯し紋次郎。ただし、市川崑&中村敦夫版に限り。
個人的に紋次郎を超えるヒーローはいないです。永遠の我が心のヒーロー。

しかし江口洋介かあ…うーん、紋次郎演るには優しすぎる印象なんだけどな。
紋次郎って無宿渡世の旅人なわけだけど、それはつまり“昨日もなけりゃ明日もない”、死と隣合せの世界を生きてるってことなんですよね。
ゆえに紋次郎には、常にニヒリズム――虚無感がつきまとっている。
この虚無感をうわっつらでなく表現できる若手俳優っているのかな……ちょっと思いつかない。

まあでも、何事であれ、偉大なオリジナルを超えるのって難しいよね。自分も含め、コアなファンほど排他的だしなあ。
もしまた平成版紋次郎を作る機会があったら、今度は白紙で笹沢佐保の原作に向き合ってほしいですね。
中村版のイメージをぶっ壊すくらいの気概でもって、って今のテレビ業界じゃ難しいのかもしれませんが。

それにしても、何故今「木枯し紋次郎」なんだろう。
こういう泥臭くてリアルな世界観って、今の世の中ではむしろ忌避されそうなもんだけど。
舞台になるのはうら寂れた山村とか漁師町とかで、貧乏人しか出てこないし…お姫様なんて存在しない世界だし…。
おまけに毎度毎度見事に救いのない話ばかりだしねえ…ホントよくこんな暗くて救いのない話を放映できたよな、と感心します。昭和ってすごい。

ていうかある意味、時代劇が昭和のイメージそのものなのかもなあ。
平成を代表する時代劇って思いつかないし。そもそも時代劇の枠自体消えかかってるというし…。
そう考えると『水戸黄門』ってすごいよね。時代を超えて生き続けてるもんなあ。
「サザエさん」と同じ偉大なるマンネリズムだよね。変らずそこに存在してくれる安心感。
つまるところ、いついかなる時代でも、人は予定調和を求めるものってことなんですかね。