木枯し紋次郎

金曜日の話ですが。
ぐーぐるの急上昇ワードに入ってて「なんで!?」と思ったら、リメイクドラマやってたんですねー。
十数年前にBSでやってたの観て以来、超の付く大ファンなんです、木枯し紋次郎。ただし、市川崑&中村敦夫版に限り。
個人的に紋次郎を超えるヒーローはいないです。永遠の我が心のヒーロー。

しかし江口洋介かあ…うーん、紋次郎演るには優しすぎる印象なんだけどな。
紋次郎って無宿渡世の旅人なわけだけど、それはつまり“昨日もなけりゃ明日もない”、死と隣合せの世界を生きてるってことなんですよね。
ゆえに紋次郎には、常にニヒリズム――虚無感がつきまとっている。
この虚無感をうわっつらでなく表現できる若手俳優っているのかな……ちょっと思いつかない。

まあでも、何事であれ、偉大なオリジナルを超えるのって難しいよね。自分も含め、コアなファンほど排他的だしなあ。
もしまた平成版紋次郎を作る機会があったら、今度は白紙で笹沢佐保の原作に向き合ってほしいですね。
中村版のイメージをぶっ壊すくらいの気概でもって、って今のテレビ業界じゃ難しいのかもしれませんが。

それにしても、何故今「木枯し紋次郎」なんだろう。
こういう泥臭くてリアルな世界観って、今の世の中ではむしろ忌避されそうなもんだけど。
舞台になるのはうら寂れた山村とか漁師町とかで、貧乏人しか出てこないし…お姫様なんて存在しない世界だし…。
おまけに毎度毎度見事に救いのない話ばかりだしねえ…ホントよくこんな暗くて救いのない話を放映できたよな、と感心します。昭和ってすごい。

ていうかある意味、時代劇が昭和のイメージそのものなのかもなあ。
平成を代表する時代劇って思いつかないし。そもそも時代劇の枠自体消えかかってるというし…。
そう考えると『水戸黄門』ってすごいよね。時代を超えて生き続けてるもんなあ。
「サザエさん」と同じ偉大なるマンネリズムだよね。変らずそこに存在してくれる安心感。
つまるところ、いついかなる時代でも、人は予定調和を求めるものってことなんですかね。