愛ってなあに

俎上の鯉は二度跳ねる


コッテコテの中華料理でした。美味しかったけど、胃もたれもすごい。
ふたりの会話だけで進むページの多いこと、多いこと。セリフもこれまた多いこと、多いこと。
それも緊張の糸がぴーんと張り詰めてて、一瞬たりとも弛まないもんだから読んでる方も疲れるんだよね(笑)。
なんか心理小説っぽいなあと思いました。エゴとエゴのぶつかり合いのハンパなさといったら…お、思い出しただけで疲れる…。
とりあえず感想は吐き出したいけど文章組み立てる気力がないので、箇条書きで。
(めちゃくちゃ長いので折り畳んどきます。興味のある方のみどうぞ)

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カオスな感じの感想

映画『ハゲ/タカ』の予告篇を観たんだけど、玉/鉄がBLに出てくる高スペックビジネスマンにしか見えないのはどうしたら……すみませんすみません。
でも、このルックスはかなり腐女子受けすると思うの…。6月が楽しみー。

洋服ダンスの下に付いてる引き出しが重くて、開け閉めにえらい苦労していたんですが。
最近一念発起して、洋服ダンスに隠してたBL雑誌の山を処分したところ、なんと引き出しが軽くなった!
雑誌の山が引き出しを圧迫してたのか、なんてこったい、な出来事でした。
ついでに未読本の山も片づけ中。以下、片付けつつ完読したものの感想です。

『生まれ星』明治カナ子
やーーーっと両想い! よかったねええええ…涙。
そ・れ・に・し・て・も、ものすごいすれ違いっぷりだったなあ。
読んでる側としてはこのじれじれ感がたまらんわけだけど、自分が当事者だったらとっくに降りてる気がする耐久レース。
弓はなにげに相当強い子だと思う……たぶん角の方がずっと繊細にできてるんじゃ。
角にもいつか、過去から解放されて誰かを愛することの出来る日が来るんだろうか。
角は気付いてなかったみたいだけど、彼を愛してくれる人がいたことになんだかホッとした。本当にいつか幸せになってほしいと思う。

『コルセーア -記憶の鼓動-』水壬楓子(画/御園えりい)
カナーレってどう見ても姫ポジだよねー!
記憶喪失モノは好物なのでそれなりに愉しく読みました。
もうちょっとテンプレ枠からはみ出てもいい気がするけど、はみ出ないところが良さなのかもしれない。うーん。

『不器用なサイレント2』高永ひなこ
なんて可愛いバカップルなんだ〜。癒された。
高永さんのエッチシーンは色っぽくて好き。

『落下の雪に踏み迷う』久我有加(画/門地かおり)
設定(時代物(明治or大正?)&身分違いの恋)があああ! ツボです。
誤解が解けてくっつくまでに、あと一波乱ならぬ二波乱くらいあってほしかったかな。
異母兄弟設定はいらなかったと思う。

『イロメ』草間さかえ
はあああ、切ない。萌え。
物理の先生がツンデレでいじらしくて可愛いすぎた。蛙のストラップ少年も。
其処此処にさらっと仕掛けられた切なさのトラップがたまらんです。
生徒×先生カプ2組は対照的で面白いなー(笑)。
「救性主」とか「三本目の脚」とか、愉し過ぎる。さすが草間さん。

『ミッション』水壬楓子(画/道原かつみ)
水壬さんには珍しい(?)年下攻。
純情でひたむきで大型犬みたいなところは『ミステイク』の攻とかぶる、ていうか水壬さんの年下攻イメージはこんな感じなのかもと思った。
受に遊ばれたと思い込んで…って展開もちょっと似てるかな。

『キスブルー I&II』木下けい子
ノンケ萌え、友情萌えな感じのお話でした。
ただ、攻がタラシなんだけど、マイツボにハマらないタラシだった。そこが残念。
わたし的には、受が流されるまま店長と関係持って泥沼状態になってくれたら激萌えだったかもしれない。
って、それじゃ木下けい子じゃねえ!ですね…。

『メンクイ!』田中鈴木
受のことりが可愛くて悶えました。大本命の吉田に通じる可愛さだなあ。
ぶっ飛んだ展開が世界観として成り立つのって田中鈴木の持ち味というか強みだよなと思った。
そんでもってテンポがいい! これはネームに切れ味があるってことなんだろうか。
なんかこの切れ味の良さは少年漫画のノリに近いものがあるような。絵柄もだけど。
しかし、続きが気になる。くーちゃんのその後もすごく気になる。新装版買わなくちゃ…。

終りなき夜に生れつく

終りなき夜に生れつく


タイトル買いした1冊(記事参照)。
面白くてあっという間に読んだ。なんかもう寝る間も惜しんでって感じで。
が、しかし。
すごく面白くはあったんだけど、最後のどんでん返しが反則技に近い力技だったために微妙にすっきりしない読後感となってしまった。
心境としては、全力で信頼してたのにあっさり裏切られてしまって、呆然とするやらいっそ清々しいやら…という感じ。
ただ、ミステリではなく悲恋物として読む分には、このどんでん返しも気にならない、というかむしろ効果的だろうと思う。
面白さの内訳はミステリ成分2に対して、切なさ成分8、といったところか。
以下、完全ネタバレになるので折り畳んでおきます。

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青い花

青い花 (岩波文庫)



ちょうど画家や音楽家が目や耳という外にある器官を心地よい感覚で満たすのに対して、詩人の方は心情という内にひそむ聖域を、不思議な快い想念で新たに満たしてくれて、わたしたちの内に秘められたあの神秘の力を思いのままに刺激して、言葉によって未知の素晴らしい世界を知覚させます。――『青い花』ノヴァーリス(青山隆夫訳)

15年くらい前に買って書棚に差しっぱなしにしていたもの。今頃読んだ。
青年詩人ハインリヒの魂の遍歴を描いた、いわゆるドイツ教養小説の系譜なのだが、ゲーテやトーマス・マンのそれとはかなり趣を異にしている。
成長物語というよりは思想・哲学に近く、小説技法に囚われないさまはむしろ散文詩のようである。
想像力の翼は高みを目指して翔け、壮大で神秘的な世界を描き出す。

詩人の夢と理想の象徴である“青い花”に、長い旅の果て、ハインリヒはようやく廻り逢う。
その意味するところはつまり、詩の力による「可視の世界と不可視の世界との永遠の結合」だろう。
まばゆいほどに清冽な、ノヴァーリスの思想の結晶のような小説。

駅から5分

駅から5分 1 (1) (クイーンズコミックス)



くらもちさん、私が小学生の時すでに第一線で活躍されていたと思う。
あれからウン十年経ってるというのに、この感性の瑞々しさはどうだろう。
数年前に『天然コケッコー』を読んだ時も同じようなことを感じたんだけど、くらもちさんのアンテナって全然錆び付いてないよね。未だに脱皮し続けてるようにさえ見える。
決して守りに入らないってことは、決して枯れないってことでもあるんだろうな。
そういう意味で、見事に“守破離”を体現してる人だと思う。

第1話の舞台は東京の下町、中学生の女の子が主人公の淡い恋のお話だった。
第2話にはその後の顛末が描かれているのかと思いきや、舞台はいきなり長野県に変っている。主人公もまるで関係なさそうな大人の女性。
なので当然、「ふーん、一話完結モノなんだ」と読んでたのだが、ところがどっこい、第1話からの糸がちゃんと張り巡らされてあった。
この作品、ひとつの物語を主人公とアングルを変えながら見せてゆくという、よくある手法の連作になっていたのだ。
確かによくある手法なのだが、見せ方が巧いのか、なんだかとても新鮮に読めたのが不思議。
たぶん、スポットが当たるキャラたちの役割と、各々の相関性がすぐには分からないようになっているせいかもしれない。
で、話がかなり進んだところで、「あ、ここで繋がるんだ」とちょっとした驚きがある。
スポットの当て方とかエピソードの重ね方が巧いんだろうな。それも計算を感じさせない巧さ。
これぞ熟練の技ってやつですね。

物語は群像劇風に展開しながら、その中心に、いかにもくらもちキャラらしい男子高生・圓城陽人の存在を強く感じさせる作りになっている。
この陽人くんが実にカッコよくてミステリアス。くらもちさんの男子キャラは永遠のアイドルだよなあ。
そして腐女子的には、陽人に絡んでくる眼鏡少年・入谷の存在に萌えないわけにはいかない。
このふたり、何か濃密な空気を漂わせてるように見えるものの、まだまだ関係性に謎が多いもんで、余計行間を読みたくなるというか妄想を煽るんだよね。
神社のシーンとか神社のシーンとか。
とはいえ、やはり王道系少女マンガ(? レディコミじゃないし、どう分類すれば??)なので、BL的展開にはならないだろうな…。
オーソドックスに王道的に展開すると考えるなら、陽人はオーロラ姫の生れ変わりの女の子とくっついてハッピーエンドだろうか。
それにしても、「腐女子」とか「萌え」とか出てきた時はちょっと焦った。くらもちさんのマンガでこの手の言葉を目にする日が来るとは…(笑)。

入谷は父親を事故で亡くしているのだが、形見の腕時計に関する話がとてもいい。
傷ひとつなく動き続ける腕時計を見るたびに、彼は父親のことを思い出す。
「それがせめて必然であったって誰か納得させてほしい」と彼が云う、そのセリフがひどく切ない。
たぶん人生で初めて経験する不条理――それを受け入れるまでの出来事がさらりと描かれている。
このさらりと押し付けがましくない感じ、いいよねえ。
他に、かつて人気を博した女性声優の話なんかも味わい深かった。
立場が逆転してしまった後輩のことを回想するシーン、ほんの2ページほどのシーンの中に彼女と後輩との関係性や、何故立場が逆転してしまったのかを読み取ることが出来るようになっている。
そして、「誰にも求められていないという孤独感」が誰かに求められている喜びに変るラストシーンの見事さ。
巧いんだけどあざとくない、この感性はやっぱり少女のものかもしれないと思った。