“全米が泣いた”で泣けたためしがない

基本的に音楽は広く浅く聴くタイプなんだけど、十代の一時期、洋楽しか聴いてなかった頃がありました。
それも「ビルボード、何それ? 洋楽はやっぱUKでしょ」という痛い偏食ぶりで、マイナーどんとこい、むしろマニアックを極めるぜ、みたいな。
今で云う“中二病”ってやつですね。
同じ洗礼を受けてきた人には深く肯かれそう、ていうかニヤニヤされそうですが、当時の“神”はスミスとニュー・オーダーでした。
人によって太宰治なり尾崎豊なりに見出すものを、自分はスミスやニュー・オーダーに見ていたんでしょうね。
『デミアン』じゃないけど、青春時代って殻を破ろうとする葛藤のエネルギーが半端でなくすごいから、その捌け口として“神”が必要になるんじゃないかと思う。
換言すると、殻を破るための触媒というか導き手みたいな存在だろうか。
シンクレールにはデミアンがいたけれど、現実の若者がそんな人を得ることはまず無理なので、そこでスミスですよというわけですね、はい。
その後、青い春も無事過ぎ去り、スミスもニュー・オーダーもぱたりと聴かなくなって、淋しいけどもう卒業したんだわと思い込んでいたんですが――。

先日のこと、TSUTAYAで洋楽CDコーナーをぶらついてたら、最大級の賛辞を並べたかのようなPOPが目に入りました。
「現代で最も美しい音楽」とか「比類なき美しさと哀しみ」とかなんとか、そんな感じの。なんかやたら「美しい」を連発してた気がするな。ていうか自分で書いてて恥ずかしいよ、これ!
まあとりあえず、最近洋楽聴いてないし、なんか開拓したいなと思ってたところだったんで、釣られてみるかと借りてみたんですよ、コールドプレイを。
で、その結果が記事のタイトルだったと……。
うーん、美しいといえば美しいのかなあ……自分的には可もなく不可もなくというか、なんかこう“邪魔にならない音楽”って印象だったかな。
そう、邪魔にならないのが取り柄って感じ。
良くも悪くも灰汁がないんだよね。歌詞にしても英国バンドらしい暗さはあるんだけど、でも英国バンドならではの毒はない、という。
あ、そうか、だからアメリカでも売れたのかも。

世の中には、棘があるからこそ美しいものもあって、自分にとってそれこそが青春期に聴いた音楽だったんだろうな。
と、今更ながらに懐かしくなり、念の為に取っておいた昔のCDとカセット(!)を聴いてみたんです。
そしたらば。うは、全然卒業できてないじゃん、自分!ってことがよくわかりました。
いや真面目な話、聴き返して思ったんだけど、スミスもニュー・オーダーも純粋に楽曲としてすごくいいんですよね。
まあ、モリッシーの詞は今じゃあむしろギャグだけど、でもそれだってジョニー・マーのギターに乗るとこの上なく美しく聞こえるし。
三つ子の魂百までというか多感な頃の刷り込みも多少はあるにしろ、やっぱいいものは時代を超えて生き残るんだなあと思った。
そんなわけで、早速HMV(洋楽激安)に手放したCD注文しましたよ。今度は手放さないぜー!(たぶん)

COLDPLAY/Parachutes

トレインスポッティング

読んでた本が行方不明です……。
年末に終らないと叫んでた本、やっと最終ページまでカウントダウンにこぎつけたところだったのにいいい(涙)。
たぶん部屋の中にあると思うんだけどなあ……物をなくすのはしょっちゅうですが、さすがに読みかけの本が消えるのは初めてだー。
見つかるかな…とほほ。

久々に「トレインスポッティング」のCD聴いてて、以前別のブログに感想上げてたのを思い出した。
ていうか、そのブログが絶賛放置中だったのを思い出した。
思い立ったが吉日で、早速ブログ整理してきたんだけど、昔の感想とか読み返してみるとなんか新鮮ですね。
思ったより痛くないことにホッとすると同時に、欠点もよくわかるという…。
折角なので、「トレイン〜」のは一部修正した感想を流用しときます。

+++

サントラは殆ど聴かない為サントラの良し悪しがどこにあるのか今ひとつわからない。
が、既成の楽曲を寄せ集めたものとしては、『トレインスポッティング』はかなり上出来の部類に入るのではないだろうか。
映画を観ていない人間(=自分)にもその雰囲気がよく伝わってくるほどに、全体通して世界観がまとまっている。
90年代版“セックス・ドラッグ・ロックンロール”の世界だよね。
かつて60・70年代の頃の破壊欲やエネルギーが社会へと向けられてたのに対し、この『トレインスポッティング』ではすべてのエネルギーは内にこもってくすぶってる感じがする。
どんなに熱くても、その熱もエネルギーもどこか醒めていて、倦怠と諦観を免れていないような、そんな印象かな。

『トレインスポッティング』はドライブミュージックにもうってつけじゃないかと思う。
特に夜のドライブにはよくハマるんですよ、これが。
オレンジ色の道路灯が流れ去る中、“Born Slippy”のいくぶんメロウなイントロを聴くと、なにか現実と非現実のあわいにいるような気分になってくる。
あのちょっとした高揚感がたまらない。
それにしても“Born Slippy”はいいな。何度聴いても飽きない。
メロディアスな出だしの部分がすごく好きなんだけど、無機質な打ち込み音が続く部分も結構好き。
この打ち込みのドラム音に、これまた単調なシンセ音を幾重にも絡ませてくる部分の醒めた高揚感とか、ドラッグでハイな気分になるのってこんな感じなんだろうか、なんて思ってしまう。
そういえば、もともとがクラブ音楽なんだから、夜の空気にハマるのは当然といえば当然なのか。
(2007年8月 記 一部修正)

トレインスポッティング

snow

デスノ映画はまったくもって観る気にならんのですが(すんません)、テーマソングの"snow"はすごく好きです。世界観に合ってると思う。
レッチリファンからは歓迎されてない、どころか大ブーイングだろうけどいいのさ。
この曲聴くと、誰もいない、何もない、ただ雪だけが降り続く、アメリカの荒野が浮んできます。
レッチリらしい武骨な抒情性。こういう抒情性は原作にはなかったなあ……。
いや、あったらあったで困るというか、とてもじゃないけどしんどくて読めなかったろうと思うから、感情面の描写を排したのは正解だったんだよね、たぶん。

ギター1本のイントロと↓のパートが特に好きです(超適当な意訳なので違ってたらすみません)。

In between the cover of another perfect wonder
Where it's so white as snow
Running through the field where all my tracks will be concealed
And there's nowhere to go

誰にも解けない謎に隠されて
それは雪のように白く
走る僕の足跡は消えてゆく
もうどこにも行くところはない


こないだ車運転してた時、ラジオから不意打ちでこの曲が流れてきて、涙で視界がぼやけて困った。
もはや条件反射の域のような。
ところで、レッチリってもう20年以上活動してない?と思ってwiki見たら、なんと1984年デビューだった。すげー。
欧米ってこういうおっさんバンドが元気でいいよね。

「尖った山のむこうから」

ヒトカラに行って来ました。ストレス発散目的。
あー思いっきり声出して歌うのって快感! 体内に溜ったエネルギーを排出する感じがたまらん。
自分的にストレス発散効果抜群ソングなのは「YAH-YAH-YAH」とスピッツの「みそか」です。
我ながらわかりやすいなあ。わかりやすすぎて恥ずかしいくらいですよ。
そんなこんなで昨日は40曲くらい歌いまくりました。さすがにすっきり。

途中、持ち歌も尽きて、リモコンで90年代のヒットソングなんぞを見つつ歌ってたんですが、なんかねえ、やけに切ない気分になってしまいましたよ。
ビーイング系ってあったよねえ…そしてなんといっても小室全盛期だった。
あの頃ってまだバブルの名残りがあったのか、時代の空気もどこかふわふわしてた気がする。
少なくとも今みたいな閉塞感はなかったような…。
当時流行った歌も、当然そういう時代の気分を映し出していたから、余計切なく感じてしまうのかな。
“兵どもが夢のあと”みたいな、そんな感傷…。

ヒトカラの愉しみ・その2は、萌えソングを萌えカプに当てはめて歌い、ひとり悦に入ることです。
B'zの「Don't Leave Me」(ヘタレ攻用)とかスピッツの「夜を駆ける」(殺伐カプ用)とか、このへんは個人的定番ソング。
昨日は、モンパチの「小さな恋のうた」が意外と萌え歌なのを発見しました。
お前ら、可愛すぎるだろ!みたいな純情カプにぴったり…なんだけど、自分の萌えカプに当てはまりそうなのがいない…悲しい。

あと、「彼と彼女のソネット」も好きなんだなあ。わりと少女漫画テイストですが。
“こんなに近くにいてあなたが遠のいてく 足音を聞いている”
なんてところとか、悲恋萌えっすね。

あ、そうだ、昨日の最大の発見、それは「絶望ビリー」の歌詞が日本語だったこと!です。
いやー、これ、ぜんっぜん歌詞聞き取れなくて、何語で歌ってんのか不思議だったんですよねー。
まさか日本語だったとは。
しかも、ちゃんとデスノに合せた歌詞になってる!! もう超絶に感動しました。
ハードロック系は新鮮なり。